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2017夏、中国地方へ(27)「臨港鉄道」の名残を探して [保存車・廃線跡]

岡山県内にも国鉄の駅から分岐していく中小私鉄がいくつもあったという。
クルマの普及もあって、高度経済成長期以降、その多くは姿を消していくことになった。

その多くは<変態鉄>が生まれる前か、<鉄>として各地に撮りに行くようになる
以前の時期に姿を消している。自分にとっては、本の中の文章と写真でその姿を
知るだけなのだが。

そんな中、いまも残っているのは水島臨海鉄道、でも、同じように国鉄駅から
臨海部の工業地帯を結びつつ、旅客輸送を行っていた路線がもう1つあった。

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【2017年9月2日14時31分】 岡山市南区築港元町付近

JR瀬戸大橋線の大元駅から岡南地区へ、1984年(昭和58年)に全廃となった
岡山臨港鉄道である。一般の鉄道路線として営業していたのは30年間ほど、
大元-岡山港で8キロほど、末期には大元-築港元町の6.6キロのミニ私鉄。
岡南地区の住宅街、すでに廃線跡はほとんど残っていないと言うが、
末期の終点、築港元町駅周辺には保存車があるそうで...
……  ……

2017年9月2日(土)晴れ

岡山駅前から乗ったのは、14:50発の築港元町ゆき。清輝橋から岡南地区を進み、
臨海部の工業地帯の風景に変わってきたところで...、「築港元町ゆき」と言いつつ
循環する形になっているようで、市街地に向かって戻り始めたところが
築港元町バス停だった。直前まで自分の整理券番号は車内の運賃表示器で410円、
でも、それが360円に変わったところで築港元町到着。何だか不思議な感じ。

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【2017年9月2日14時26分】 岡山市南区築港元町付近

ただ、周囲は完全に工業地帯...という風景では無く、むしろ真新しい分譲住宅、
昔からあると思われるお宅、どこにでもある住宅街と言った感じが。

そんなバス通りの向かい側に「岡山臨港」という看板を掲げた会社があって。

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【2017年9月2日14時29分】 岡山市南区築港元町付近

臨海部、港に近いので貨物を扱う倉庫や運輸会社があるのは不思議なことでは無いが、
その正門ヨコには青い車体の小さなディーゼル機関車が佇んでいる。

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【2017年9月2日14時30分】 岡山市南区築港元町付近

そう、この「岡山臨港倉庫運輸」という会社が、かつての臨港鉄道。
臨港鉄道時代の102号機を保存しているのである。

「昭和26年8月1日創業 昭和59年12月29日廃業」とある。

そんな岡山臨港鉄道、<変態鉄>によるテキトー解説をば。
国鉄宇野線の大元駅から分岐して、岡南地区への路線が敷設されることになったのは
戦時中のことだった。臨海部の軍需工場をはじめとした工員輸送、物資輸送のため。

ただ、完成する前に終戦を迎え、完成間近の専用鉄道はそのまま放棄されてしまう。
しかし、引き続き岡南地区で操業を続けた汽車會社の要望、進駐軍の指示もあり、
この路線を完成させることになった。

だが...

まもなく、汽車會社は岡山工場を廃止、結局、専用鉄道として開業直後に
再び放棄されてしまう。

これを1951年(昭和26年)に一般の鉄道路線として“復活”させたのが
岡山臨港鉄道だった。

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【2017年9月2日14時31分】 岡山市南区築港元町付近

ちなみに、そんな縁もあるのだろうか、この102号機も汽車會社で製造されている。
小ぶりな車体にロッド式の台車、そしてエンジンはDMH17形とのこと。
その名の通り、工業地帯への貨物輸送を担ったはずなのだが、この小さな機関車で
大丈夫だったのだろうか!? ちょっと心配になるくらい。
(のちにDD13型ディーゼル機関車を導入、そちらが主力になった)

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【2017年9月2日14時31分】 岡山市南区築港元町付近

屋根をかけられ大事に保存されているのは、<鉄>として嬉しいところだが、
でも、全景を撮りにくいのにはちょっと困ったのだった。

そんな小さなディーゼル機関車を撮った後は再び通りの向かい側、バス停の方へ。
ガラケーの地図サイトの、いい加減な地図だけを頼りに探したのは
住宅街の中を700メートルほど進んだところにある保育園である。

その一角で活用されているのが...

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【2017年9月2日14時42分】 岡山市南区千鳥町付近

“湘南顔”のキハなのである。岡山臨港鉄道キハ7003号車。
1955年(昭和30年)に新潟鐵工所で製造されたディーゼル動車である。
国鉄キハ10系列と同世代ということになるのだろうか。エンジンはDMH17B、
これを新製したのは、夕張鉄道だった。でも...、そうエネルギー政策の変更で
夕張での活躍は15年ほど、夕張鉄道の廃止により水島臨海鉄道へ譲渡される。

ただ、水島での活躍は短く、1978年(昭和53年)11月に岡山臨港鉄道に移ってきて
同線末期の主力となった。

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【2017年9月2日14時43分】 岡山市南区千鳥町付近

車両の保存状態はなかなか良好だと思われる。

でも、残念なのは形式写真の撮りにくさ。木々に邪魔されて撮れなくて...
桃太郎(?)のヘッドマークは岡山らしさだろうか。

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【2017年9月2日14時44分】 岡山市南区千鳥町付近

ただ、フェンス越しとはいえ、ディテール観察はやりやすく。
菱枠台車も見やすい位置に。昭和初期に始まった、わが国の内燃動力車の歴史、
ガソリン動車からディーゼル動車へ...、戦前から戦後すぐの時代にかけて
問題になったのは車両の重量だった。エンジンの開発に大苦戦、少しでも車両を
軽くするために、他の車種では考えられないくらいの簡素化が見られた。

そんな時期のガソリン動車・ディーゼル動車に使われたのが、このタイプの台車。
帯板を組み合わせた構造にすることで徹底的に軽量化した結果とされる。

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【2017年9月2日14時44分】 岡山市南区千鳥町付近

そして、このキハの最大の特徴とも言えるのが、こちらの連結面側。
何と両運転台なのである。末期の岡山臨港鉄道では、大半の列車がキハ単行、
このキハ7003号車も単行で走っていた。

ヘッドライトもタイフォンも付いてはいるものの、運転席側にしか窓が無く、
何とも珍妙な顔立ち。何だか国鉄型の特急・急行型電車にあった
入換(簡易)運転台のような感じ。でも、この姿で走っている写真も数多く
残されており、何とも...

よく見ると側窓は住宅用のサッシだろうかハンドルを回して開閉するような
タイプの窓に交換されているのがわかる。

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【2017年9月2日14時47分】 岡山市南区千鳥町付近

岡山臨港鉄道時代のものだろうか、なぜか、4.5キロポスト。
たぶん、この千鳥町付近は6キロ付近にあたっており、なぜコレが設置されている
のかは若干謎だが...

このほか、腕木式信号機なども残っており。
3両のキハ7000形、2000年代に入って2両が解体撤去されているとのことで、
貴重な最後の生き残りなのである。

ちなみに、土曜日の午後ということもあってか保育園の中に人の気配は無く。
子どもたちのいる時だったら、カメラを提げて歩き回るオッサン...
単なる不審者である。別にやましいことはしていないのだが、とはいえ、
ちょっとヒヤヒヤしながらの撮影だった。

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【2017年9月2日14時49分】 岡山市南区千鳥町付近

先ほど降りた、築港元町からは2つ先にあたる三浜町バス停が、件の保育園の
目と鼻の先。ここから再びバスに乗って。ちょうど14:58発のバスに間に合った。

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【2017年9月2日15時13分】 岡山電気軌道清輝橋線・清輝橋電停

このまま岡電バスで岡山駅まで乗り通せば良いところ、やはり、<鉄>としては。
「次は清輝橋」のテープ放送に迷わず降車ボタンを。ここまで250円。

しばらく待って、岡山駅前ゆきのMOMO。しばしの路面電車の旅を楽しんだのだった。
乗り換えたことで、たぶん数十円高く付いたのだが、これくらいは<ケチ鉄>
としても容認できる範囲だろうか。

さぁ、これでホテルに戻ってゆっくりと...とはならないのが<変態鉄>。(つづく)

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コメント 2

フジトモ

 これはこれは、わが実家近くの築港元町までわざわざ来ていただき恐縮です。
 ここの存在は知っていましたが、自分が帰郷の際に利用している岡電バスは「ろうさい線」で場所が微妙なため行けていない井場所でもあります。
 ちなみに臨港鉄道の最終列車にも乗ったことも・・・
by フジトモ (2017-10-09 19:32) 

あるまーき

フジトモさん

コメントありがとうございます。
「臨港鉄道」というのは、あまりよく知らなかったのですが、
夕張鉄道から来た、湘南フェイスのディーゼル動車が残っている
と聞いて、一度、訪れてみたいと思っていました。
お乗りになったとは、羨ましい限りです。
個性的なディーゼルカーが多かったようで、現役の姿を見てみたかったです。
by あるまーき (2017-10-10 00:07) 

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